認知機能の衰え、というのは大きな断裂が有るものではなくて、ここから地続きなのだと、、、【介護・認知症を考える】

認知症世界の歩き方ライフスタイル
認知症世界の歩き方

本のタイトル

認知症世界の歩き方 
筧 裕介(著/文)
認知症未来共創ハブ(監修)
発行:ライツ社

【本の紹介】

 なかなか理解してもらえずに困っていた「認知症のある方が実際に見ている世界」がスケッチと旅行記の形式で、すごーくわかる!

 まるで「ご本人の頭の中を覗いているような感覚」で、認知症のことを楽しみながら学べる一冊です。

【本の目次】

ここは、認知症世界。

認知症とともに生きる世界では、だれもがいろいろなハプニングを体験することになります。

・乗るとだんだん記憶をなくす「ミステリーバス」
→自分のしたことを忘れてしまうのは、なぜ?

・だれもがタイムスリップしてしまう住宅街「アルキタイヒルズ」
→あてもなく街を歩き回ってしまうのは、なぜ?

・イケメンも美女も、見た目が関係ない社会「顔無し族の村」
→人の顔がわからなくなるのは、なぜ?

・熱湯、ヌルッ、冷水、ビリリ。入浴するたび変わるお湯「七変化温泉」
→大好きだったお風呂を嫌がるのは、なぜ?

・時計の針が一定のリズムでは刻まれない「トキシラズ宮殿」
→コンロの火を消し忘れてしまうのは、なぜ?

・一本道なのになかなか出口にたどり着かない「服ノ袖トンネル」
→同じ服ばかり着たがるのは、なぜ?

・ヒソヒソ話が全部聞こえて疲れてしまう「カクテルバーDANBO」
人の話を集中して聞けないのは、なぜ? etc…

あなたは認知症世界を旅する旅人。
この物語に登場するのは、架空の主人公でも、知らないだれかでもなく、
「少し先の未来のあなた」や「あなたの大切な家族」です。

認知症世界の旅、はじまり、はじまり。

<著者からのメッセージ>

●とにかく、「本人」の視点で認知症を知ることのできる本を目指しました。

 認知症のある方の心と身体には、どんな問題が起きているのでしょうか。そして、いつ・どこで・どのような状況で生活のしづらさを感じているのでしょうか。

 いざこういうことを調べてみても、これまでに出版された本やインターネットで見つかる情報は、どれも症状を医療従事者や介護者視点の難しい言葉で説明したものばかり。

 肝心の「ご本人」の視点から、その気持ちや困りごとがまとめられた情報が、ほとんど見つからないのです。

 この大切な情報が不足していることが原因で、認知症に関する知識やイメージに偏りが生まれ、ご本人と、周りの方の生きづらさにつながっています。

「困っていることはあるのに、自分の口で言ってもうまく説明できない」という、ご本人の気持ち。

「本人に何が起きているのかわからないから、どうしたらいいのかわからない」という、周りの方が抱える気持ち。

そのすれ違いを、少しでも減らすことができないか。

認知症のある方ご本人に起こっていること、ご本人が感じていることをより多くの人に理解してもらいたいというのが、この本をつくった一番の思いです。

●「認知症のある方が生きている世界」を、実際に見られるように

 とはいえ、認知症のある方が抱えるトラブルを理解するのは簡単なことではありません。そこでわたしたちは、認知症のあるご本人にインタビューを重ね、「語り」を蓄積することから始めました。その数は約100名にのぼりました。

それをもとに、認知症のある方が経験する出来事を「旅のスケッチ」と「旅行記」の形式にまとめ、誰もがわかりやすく身近に感じ、楽しみながら学べるストーリーをつくることにしました。
それが、「認知症世界の歩き方」です。

●たとえば、「お風呂を嫌がる」のはどうしてなのか?

「本人が、お風呂に入るのを嫌がって……」。

介護をされる方から、よくお聞きする話です。見方によっては「介護への抵抗」と感じられる、その人の「お風呂に入りたくない理由」は1つではなく、実はその背景には、さまざまな認知機能のトラブルがあると考えられます。たとえば、

1.温度感覚のトラブルで、お湯が極度に熱く感じる
2.皮膚感覚のトラブルで、お湯をぬるっと不快に感じる
3.空間認識や身体機能のトラブルで、服の着脱が困難
4.時間認識や記憶のトラブルで、入浴したばかりだと思っている

単純に、家族に手間をかけさせたくないと思っている、という場合もあるでしょう。

このように、お風呂という1つのシーンをとっても、その人が抱える心身機能障害(心と身体の不調・トラブル・誤作動)や生活習慣・住環境によって、なぜ・どんなことに困難を感じるのかは異なるのです。

つまり、認知症を「ひとくくり」にしない。それが、とても大切なことです。

●どうしてそんなことするの……?行動の「理由」を知ることが、本人も介護者もラクにする

 「できること」も「できないこと」も、人それぞれで異なります。

 たとえば、すでに買い置きがあるのに食パンを何度も買ってきてしまう、という日常のちょっとした失敗。でも、食パンを買いすぎるのも、単純に「いつ買ったのか忘れてしまっている」のか、「戸棚の扉を閉めたことによって食パンが見えなくなったため、その記憶が消えてしまっている」のかなど、原因はさまざまです。

 失敗だけを見ていると「本人に買い物をさせない」と行動を制限するしかないように思えますが、その背景にある理由がわかれば、対応の仕方は変わります。

 買い物リストをつくる、ストックは必ず見えるところに置く、そもそも戸棚の扉を外す……。

 こうしたやりとりの中に、「わかってくれない」「わからない」といったすれ違いは起こるものです。

 でも、それを少なくすることができれば、ご本人も周りの方も楽になる場面が増えていくことでしょう。

 ちょっとした工夫だけで、今まで通りの生活を続けることができ、本人の尊厳を守り、認知機能の低下を防ぐことにもつながります。

 「認知症世界の歩き方」の完成を一番喜んでくださったのは、だれよりも認知症のある方ご本人でした。

「自分の口で言ってもあんまりうまく説明できないし、相手にもすぐに理解してもらえなかったけど、これを読んでもらうと「ああ、こんなことが起きてるんだ」って、わかってくれる人が多くて嬉しかった。」

 また、ご家族からは、こんな感想をいただきました。

 「わたしたち家族が、彼女に見えている世界を理解し、寄り添い、彼女と心地よく過ごすためのヒントを探していたときに、とてもわかりやすく、世界の見え方を教えてもらえました。」

 この本だけで、すべてがわかるわけではありません。

 でも、認知症のある方にはどんな世界が見えているのかを知ることで、自分や自分の大切な人にどのようなことが起きるのかを、より想像できるようになるでしょう。

●認知症とともに幸せに生きる未来をつくれるように

 認知症は「今のところ」は、医学的に治す方法はない、という事実があります。

 しかし、「本人の視点」から認知症を学び、生活の困りごとの背景にある理由を知ることで、「どうやって、認知症とともに生きるか」、つまり、「付き合い方」や「周りの環境」は変えることができます。

 付き合い方や周りの環境を変えることで、その困りごと自体が発生しない、ということも起こり得ます。解決する困りごともあるでしょう。

 「病」を診て「症状」に対処する医療・介護視点のアプローチではなく、「人」を見て「生活」をともにつくり直す。

 そんな視点からできるアプローチもあるはずです。

 認知症のある方が生きている世界をもっと自分も知りたい。この超高齢社会の日本に、もっとその世界を想像できる人が増えることで、変わることがあるに違いない。

 認知症とともに、幸せに生きる未来をつくるきっかけになれば。そんな思いで、この本をつくりました。

 自分と自分の大切な人との生活をともにつくっていく手引きになれば幸いです。

【本を読んだ感想】

 『認知症の第一人者が認知症になった』という番組を以前、テレビで見たことがあります。

 家族の負担が減って利用者にも利点がある、とデイサービスを提唱・実践していた医師の方が、自分が認知症になった際にデイサービスを利用して早々に「つまらないからもう行きたくない」という場面があってひどく頭に残りました。  僕の中ではこの場面が「認知症」という言葉と強く結び付いています。

 さて、本書では、認知症の症状を、体験している本人に聞き取りし、分かりやすくまとめてあります。

 読んでいて、なるほど、認知機能の衰え、というのは大きな断裂が有るものではなくて、ここから地続きなのだと思いました。

 考え事をしながら歩いているときなんかは、ふと顔をあげて見慣れた風景であるにも関わらず、一瞬、「どこ?」となった経験は僕にもあります。

 その他、僕らが一つの動きとして捉えている動作、動作とすら認識していない動作の中にも、実際には細かいチェックポイントなどがあって、そこで躓いてしまうことも説明されれば十分に理解できますし納得できます。   本書においても認知症の出方は人それぞれ、と書いてはありますが、具体例を知り、より本人に則した対応等を考えることの出来る良い一歩目、さらには我が事としてのちょっとした心構えとなるのではないでしょうか。

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